青く晴れ渡った空を見上げ、深く吸って長く吐く。視線をグイッと下げるとバルセロナの街並みが一望出来る。赤茶色の建物が向こうに広がる。3~4階の建物が多いのか、良く見れば建物の壁色も一様では無いのだが、目の前の踊る色彩のモザイクタイルが鮮やかで、そのほかは皆一様に見える。早朝の開園前のグエル公園。すでにツーリストや散歩の人で賑やかだ。そんな人達横目に、左手に持ったラフな包みの“ジュミリア”という名のローズブーケをキャシーに手渡すその瞬間を思い浮かべる。ついついニヤケてしまうのだが、空見上げて深く息をしてまた誤魔化す。誰も私の事は見てはいないのだけれども、、。いつからか隣向こうで僕を見て笑みを浮かべるキャシー以外は。