ゴシック様式と言えばまさにゴシック様式なのだが、宇宙空間を光の速さで飛んでいてもおかしくは無い。そんな様相のスコット記念塔を見上げていたら首が痛くなり先を急ぐことにした。遠く左手の頂きにエディンバラ城の荘厳な城壁の一部や城を支える岩肌が見える。それよりも僕の目を奪うのは、城の頂きからなだらかに続く濃緑の芝生と、悠々と繁る樹々だ。芝生で思い思いに過ごす人々の視線の先には、通りを隔てて新市街が広がる。その新市街をジョージストリートまで進めば、カフェ・ウェィリントンコーヒーの美味しいスコーンが待っている。と、隣を歩くキャシーの顔に書いてある。先に渡した赤のバラ“レディラブ”はベリージャムの色、なんて言い出したキャシーがまた可愛い。なんてニヤケてたら、僕は段差に躓きスコンと転んだ。